九九夜話

日々のこと。

日々のこと。|九九夜話
着物スタイリスト秋月洋子の活動記録。オリジナルデザインによる帯留ブランド『九九』‐銀細工職人、山口緩奈さんとのコラボレーション‐の紹介と販売。季節に合わせたスタイリングや趣味の書(古代文字:龜甲会)の話もたまに。
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きれいなカタチ
JUGEMテーマ:ファッション




まだ梅雨は明けていませんが、気がつけばもう7月。
夏、ですね。



帽子



CrownClown Bespoke Headwear さんで
オーダーメイドの帽子を作っていただきました。


この素材は、ブンタールという椰子の繊維を編んだもので
女性用の帽子としては、パナマに並ぶ最高級品だそうです。

この写真では、ちょっとわかりにくいのですが
紫檀のような、ビターチョコレートのような…黒を含んだ、深い茶色。
その艶と色合いの微妙なニュアンス、繊細で軽やかな編み方…即決でした(笑)。

丁寧に仕立てられた、本当にきれいなシルエット。
鏡の前で被ったり脱いだり、ついつい撫でたくなるそのカタチに惚れぼれしながら
ためつすがめつ眺めていたら、老舗の和装小物屋さんで
鼈甲の簪を前にお聞きした話を思い出しました。



          腕の良い職人が作った簪は
          そのもの自体が美しい。
          実際に使う際には、髪の毛の中に
          埋もれて隠れてしまう足までも。
           
          それは、単体で見たときの美しさだけではなく
          実際に挿したときのバランスをも絶妙に保つ
          ぎりぎりの細さであり、まさに、機能美というべきもの。

          それが、職人の技術であり、センスであり
          “粋”というものなんだ、と。



洋装でも和装でも同じだと思いますが、身に付けるものである以上
人が身に付けたときにもっとも美しく映える。
それが完成形であるべき、と思います。
それ自体の美しさはもちろん、着ている人をより魅力的に見せること。


着物の世界でも、新しい感覚を打ち出そうといろいろな試みがなされていますが
あくまでも着物は「着る」もの、帯や小物をコーディネートして、かつ
『人が着て』、そこで初めて完成……という認識が薄いように感じるのです。
着物だけ。帯だけ。単体でしか、考えられていないような。


そうなると、人が着る余地がなくなってしまう。
極端な話、『着物』である必要は……ない。


絵や彫刻といった、観賞する対象ではないのだから
そのものだけで完結してしまっては意味がありません。
どんなに単体で美しくても、身に付けたときに着映えがしなかったり
魅力が半減してしまったり……それでは、本末転倒。


       

          ……でも。

       
          単体で美しいものが、身につけても美しいとは限らないけれど
          身につけて美しいものは、そのもの自体が美しい。
          
          それは真、なのだなぁ。。。



          職人の手によって、丁寧に仕立てられたきれいなカタチ。
          和洋に因らず、その魅力にはどうやら抗し難いみたいです。。。












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