九九夜話

日々のこと。

日々のこと。|九九夜話
着物スタイリスト秋月洋子の活動記録。オリジナルデザインによる帯留ブランド『九九』‐銀細工職人、山口緩奈さんとのコラボレーション‐の紹介と販売。季節に合わせたスタイリングや趣味の書(古代文字:龜甲会)の話もたまに。
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『め宝』
岡本可亭編/明治24年発行


め宝


以前、骨董市で見つけた本。
「め」???と思ったら……「女宝」でした。


要するに、女としての心得をまとめた内容。

育児に始まり、裁縫、茶の湯、生け花、音曲、
料理、洗濯、化粧の仕方に至るまで、ことこまかに指南。



和裁においては、女物の着物だけでなく、子どものものから
男物、印半纏や宗十郎頭巾に至るまですべて網羅され 
おまけに、多種にわたる毛糸の編み方まで。


面白いなと思うのは、編者が書家ゆえか
「女用文」という項目にかなり頁が費やされていること。

贈答の際や冠婚葬祭、物の貸し借りなど
日々の雑事における手紙の書き方。
相手を敬って呼ぶ呼び方など、敬語の用い方や
よくクイズ番組などで取り上げられる、数の数え方なども
詳しく載っていて、雑学マニアにはたまらないかも。


例えば


帯は一筋(すじ)。衣服は一襲(かさね)。
袴は一下(くだり)。絹糸は一丸(まる)。

なんだか響きが柔らかい。

鰹節って、一連(れん)と数えるんだ。へぇぇ。。。




め宝中身

洗濯法のページ↑


墨が付いた時は、橙の汁で洗ってから石鹸で丁寧に、とか。
珊瑚珠の髪飾りの油垢は、薄い味噌汁で洗う、とか。
(ほんとかなぁ???)

その他にも、麦藁帽子や羅紗の洗濯法、染め替えの方法、
そして料理に至っては、漬物や野菜の貯蓄法はまだしも
ビールの製法まで!(どんな味がしたんだろ?)





しかし。
明治の女性たち、こんなこと、みーんなできたんでしょうか?

もし、これら全部できなきゃいけないとしたら
私はもちろん、たぶん現代女性のかなりの割合が
「宝」どころか「女失格」かもしれません……(笑)。


この少し後に生まれた幸田文さんなどは、エッセイを読むと
ほぼこれに近いことを露伴翁から厳しく仕込まれていたようですし
今の自分たちが、いかに「できること」が少ないかを
思い知らされます。

でもきっと、裁縫が苦手、なんて女性もいたはず。
掃除は得意だけど、料理がちょっと……とか(笑)。
皆が皆、そうそうできることではないからこそ
それらを完璧にこなす人は、それこそ「宝」と
呼ばれるべき存在だったことでしょうね。





     ちなみに、この編者である岡本可亭は
     あの天才アーティスト岡本太郎の祖父なのだそう。
 

     と、いうことは。


     あの(!)岡本かの子の
     義理の父になるということで………
 
     だからでしょうか。
     これができたら「女(の)宝」というタイトルに
     妙なリアリティを感じるのは(笑)。。。



  


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