九九夜話

日々のこと。

日々のこと。|九九夜話
着物スタイリスト秋月洋子の活動記録。オリジナルデザインによる帯留ブランド『九九』‐銀細工職人、山口緩奈さんとのコラボレーション‐の紹介と販売。季節に合わせたスタイリングや趣味の書(古代文字:龜甲会)の話もたまに。
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堪能
『流れる』
幸田文原作/成瀬巳喜男監督



体重を感じさせない、すっとした立ち姿。
しなやかな手元。
きゅっと上がったお太鼓に、風情漂う後ろ姿……

芸者置屋の女主人、つた奴を演じる
山田五十鈴さんの美しさに惚れぼれ。









ちょうど、季節は夏。


木目、流水、変り亀甲、扇面……


つた奴のまとう浴衣は、どれも大胆で個性的。
花柄全盛の現代ならば、男っぽいだの、華がないだのと
言われてしまいそうな柄ばかりなのに
匂い立つような、その艶やかさに息を吞む。


これだけの強い柄で、抑え込んでなおあふれる女らしさ。





………すごいなぁ。。。さすが。。。

ボキャブラリィの貧困さに、我ながら情けないけれど
そうとしか言いようがない(笑)。





実は私にとって、浴衣は、結構着こなしが難しいアイテム。
中でも、こういった“浴衣らしい浴衣”は本当に難しい。


その理由は……ごまかしが効かないから。


着付けのテクニック的な部分や、着るものが少ないだけに
体のラインが出やすい、といった意味もあるけれど、それだけではなく
人としての中身というか、生命力、あるいは、芯の強さというか。


   
     そういった、内面的なものが
     もろに出てしまう気がするのです。
     ちょっと大げさかもしれないけれど………
 


薄っぺらな自分が、あからさまに出てしまう…そんな気がして
藍白大柄浴衣のきっぱりシンプルな潔さに、今はどうにも
太刀打ちできそうにない、ヤワな私(笑)。
(もっと年を重ねれば、いつか、着られるように……
 なる、かなぁ??? うーん………)







この作品は、山田五十鈴さんはじめ、主人公の田中絹代さん、
杉村春子さん、粟島すみ子さん、高峰秀子さんなどなど
贅沢際まりないキャスティング。

登場人物それぞれの、内面や立場を映し出した着こなし
(柄、帯の結び方、衿の合わせ方など)や
浴衣だけでなく、夏の着物や芸者たちの出の衣裳など
見どころたっぷり。

また、当時の常として、浴衣はあくまでも部屋着なので
ささっと着替えて出かけるシーンも多く
着付けの際の、手さばきの美しさも必見です。



モノクロであるがゆえに、より鮮烈な印象を残す
“浴衣らしい浴衣“の美しさが堪能できる作品。

まさに眼福……お勧めです。







原作はこちら↓ 表紙も素敵です。







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