九九夜話

日々のこと。

日々のこと。|九九夜話
着物スタイリスト秋月洋子の活動記録。オリジナルデザインによる帯留ブランド『九九』‐銀細工職人、山口緩奈さんとのコラボレーション‐の紹介と販売。季節に合わせたスタイリングや趣味の書(古代文字:龜甲会)の話もたまに。
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笹? 竹? 〜今宵は七夕〜


 五節句の1つ、『七夕』。
 
 ゴロの良さからか、7日に定着していますが
 本来は7月6日〜7日にかけて祝われていたようです。


 『七夕』といえば、<笹>ですね。

 短冊に願い事を書くことも、今でこそさすがにないけれど
 この季節、装いにぜひ取り入れたいモチーフです。



 でも<竹>と<笹>って、ちょっと紛らわしい。


 
 植物学上では、一応違う植物のようですが
 文様化されたものは、あまり厳密な区別はせず
 大きさや他の意匠との組み合わせによって使い分けられています。
 「竹に雀」とは言いますが「笹に雀」とは言わないし
 「笹蟹」はあっても「竹蟹」では、いまいち風情に欠けますよね(笑)。


 昔は、稈(かん=幹の部分)を利用するものを<竹>
 葉を利用するものを<笹>と呼び分けていたとも。
 現代の紋様の使い分けも、それに近いものがあります。



 例えば、これは……<竹>。

竹帯留



 こっちは<笹>。

笹帯留



 

笹と竹簪


 上が<竹>、下が<笹>。


 稈が主体の文様は<竹>、葉が主体の文様は<笹>。
 ざっくり、そんなイメージでしょうか。



竹帯

 ↑<竹>     <笹>↓

笹帯



 だけど、この塩瀬の染め帯。

 何の柄?って聞かれたら、「笹の柄」って答えるくせに
 「竹だから」って、よくお正月に締めてます私(笑)。
 
 もともと、<笹>という名称自体が
 ささ、ささ、という風がわたる音から、という説もあれば
 細竹or小竹=ささたけ、という読み方から、という説も
 あるくらいですから、本来その境目は、結構曖昧なんですね。
 『松竹梅』の文様も、葉をメインにあしらわれたものも多いですし。



 ………要するに、かなり、適当ってこと。
 その時々に、都合の良い方をチョイスってことで(笑)。
 




 でも、たぶん。。。
 

 着物の良いところは、そういうところなんだと思います。
 着物だけじゃなくて、日本古来の考え方というか。

 

 
 白か黒か。

 

 OKかNGか。




 そんな無味乾燥な決め付けではなく、そのあわいの
 いろんなニュアンスを含んだ、柔らかで滋味に富んだ部分を
 大切にする、その感覚。
 
 その時々で、柔軟に考えることができる。
 それは、自分で選択、あるいは意味や思いをプラスできる、ということ。
 
 選択の余地のある、懐の深さ、と言っても良いかもしれません。
 


 つらつらとそんなことを思う、七夕の宵でした。






 追記/その他の七夕モチーフ

 
 <紙衣> <天の川> <星> <筆>
 <糸巻き> <合歓の花>などなど。。。




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